横須賀美術館で開催中のL'展(8日迄)が、ツイッター上で大きな話題を呼んでいます。
問題は、大きく分けると2つ。
ひとつめは、入場料(前売り2500円・当日3000円)に対する展示の甘さ。
もうひとつは、その苦情をうけた横須賀市議さんの反応です。
ツイッターを見ているかぎり、この二つがわりと混合されてるためにちょっとおかしなことになってるなー、と。
わたしはこの展示にいっていませんし、なによりラルオタではないので、前者に対してはなにもいえません。ただまー値段に対しては普通に考えて(一般の美術館と比較した場合)高いなーとは思います。
まぁお金に対する価値観はそれぞれなので、この話はこの辺で。
で、今回主に私が書きたいのは、二つ目の市議さんの反応および、行政の運営する美術館とはなんなのか?についてです。
TLをもとに書いていますので、誤った事実・解釈などありましたらご指摘お願いします。
そもそもL'展は、横須賀市が運営する横須賀美術館をいわば「イベントスペース」として企業(広告代理店)に貸し出し、企画および展示内容はその企業に一任したものだそうで、
赤字を抱える行政の美術館の民営化への実験も兼ねた新しい試みとして行われました。
この結果がよければ、民営化してもいいんじゃないの?っていうことになるかもしれないっていうわけですね。それのモデルとして熱心なファンが多いラルクの展示をやるのはなかなかチートだと感じますけど。
そういうわけで、普段の展示とは違って、企画運営が外部企業(not横須賀市)だから、市議さんに
展示内容のことであーだこーだいってもまぁどうしようもなかったっちゃどうしようもなかったわけです。
美術館はあくまでスペースを貸し出しただけで、美術館側の職員すら展示内容に関わることができないようなのでなおさらですね。
来場者の不満がたまってるタイミングで、この話題を出しちゃった、またそれが売り上げしか加味していない(現場を把握していない)ツイートだったのは運がわるかったとしか。
しかし、あまりに展示内容に関するリプライが多かったためか、その後市議さんはラルクのファンとおぼしき人を無条件にブロックしていきます。
これは、市民の声を聞く立場の人間として印象よくはないですよね。
「この件に関してのご意見は企画会社に入れてください」というインフォを流せばそれで解決したはずだと思うのですけども。
この企画展の収益が横須賀市に入らないのかなんなのか知りませんが、(はるばる)横須賀に来てくださった方にブロックっていう対応はどうなんだろうとおもいますね。美術館のカフェや交通機関の利用ですくなくとも活性化につながったんじゃないかと思いますが。
ブロック問題に関してはまぁそういう認識なのですが、私が一番ひっかかったのは、その市議さんの「横須賀美術館を「博物館法」のしばりを外して、様々な興行が打てるコヤとして集客増すれば良い」という発言。
一言で言えば旧来のコンテンツには集客力がないからダメってことです。
美術館および博物館の役割は大きくわけて三つ、
・Entertainment
・Education
・Study and resarch
があります。
美術館は展示が事業の中心だとおもわれがちですが、美術品の収集及び保存が主な仕事です。
下二つをやるために展示をしている(それによって収入を得ている)といって差し支えないでしょう。
集客力のあるものを収集しているのではなく、守るべき価値があるものを集めているわけです。
行政が運営する地域に根ざした美術館であるならば、その地域の美術家の作品などを守っていくべきだと私は思うわけです。
それに行政がお金を出さなきゃ誰が出すんだと思いますね。だってまぁ利益のないことですから。
お金を食うということだけで判断されて、芸術文化が軽視されているんだったらそれでいいと思いますけど。
集客力がないからって頭ごなしに無価値というのは美術とかどうでもいいよ、運営しか気にしてないよってことなので、どうかなーと思うわけです。
さて、ここで「横須賀美術館を「博物館法」のしばりを外して、様々な興行が打てるコヤとして集客増すれば良い」という発言に立ち返ります。
美術館や博物館って、学芸員資格を有する人が一人以上いてそれを名乗れるんですが、箱事態に学芸員がいても、企画に口を出せない現状、これ、結構大きい問題だと思います。
今回のL'展の不満もだいたいここに原因があるのではないかなと個人的には思っています。
美術館でやっているのに、百貨店などで催される○○展とかわらないのは問題あるかと思うんですよね。そういう○○展ってよい企画展示もありますが、やっぱ消費と直接的にむすびついていると思うので。
もちろん、グッズなどの収益がなければ、美術館運営は成り立たないんですが、前述した通り行政が運営しているものがそれでいいのか?っていう部分があります。
エンタメだけなら美術館以外でいくらでも○○展ができる。
しかし、学芸員を有する美術館が、しかも行政の運営するところが教育及び研究保存の役目を無視していいのだろうかと。
外部企画を招き入れるにしても、今回のようなやり方ではダメだと私は思います。
結果的に私としてはなぜ美術館建てたし…ってとこに来ちゃったのでもうこのへんにしておきますが、美術館とはなにか?について深く考えるいい機会になりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿